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ef. egg freezing

Egg Freezing

卵子凍結とは

未婚女性から採卵した卵子を受精させずに凍結保存し、
その後、結婚した後でその卵子を融かして人工的に受精させ、子宮に戻し、
妊娠を試みる治療の事を言います。

採卵→凍結保存→融解→受精→培養→移植→妊娠

未婚女性のための卵子凍結:ステップバイステップガイド

採卵&凍結01

まずは、卵子を採取して凍結します。年齢が高い場合や卵子の数が少ない場合は、何度か採卵することが推奨されます。
未婚女性を対象としていて、採卵する際の年齢制限がある施設も多いです。詳細は施設によって異なるので、事前に確認が必要です。

採卵&凍結

凍結保存期間02

卵子は液体窒素でマイナス196度に冷凍され、保存されます。
保存期間の年齢制限も施設によって異なるので、確認しておきましょう。

凍結保存期間

融解→受精→培養03

未来のパートナーが見つかったら、凍結した卵子を使います。このプロセスは不妊治療と同じです。その詳細についてはこちら→をご覧ください。

融解→受精→培養

移植→妊娠判定04

胚を子宮に戻した後、定期的な検査が必要です。
最初はホルモン検査で妊娠を判定します。着床が成功していれば、ホルモンの値が陽性になります。 妊娠5週目には超音波検査で胎嚢を確認し、7週目には心拍をチェックします。妊娠9週目で順調な発育が確認できれば治療は完了です。

移植→妊娠判定

卵子凍結:医学的と社会的な理由

卵子凍結、聞き慣れないかもしれませんが、
これは女性にとって大切な選択肢の一つです。
具体的には、どんな状況でこの方法が選ばれるのでしょうか。大きく分けて、二つの理由があります。

医学的適応とは

医学的適応

例えば、癌の治療のために使用される一部の薬は、残念ながら卵巣にダメージを与えてしまうことがあります。これにより、妊娠する能力が低下する可能性があります。そんな時、癌治療の前に卵子を取り出して凍結保存しておくと、将来的に妊娠を望む時に使えるんです。この方法は元々、癌治療を受ける女性をサポートするために始まりました。

社会的適応

近年、女性が社会で活躍する機会が増え、結婚や出産を後ろに延ばすことが一般的になっています。しかし、残念ながら年齢とともに妊娠する能力は自然と低下してしまいます。この問題は、医学界でも認識されていて、健康な女性でも一定の年齢内であれば卵子を凍結保存することが可能になりました。これは「社会的な理由」として認められています。 

参考ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ(公益社団法人 日本産科婦人科学会)

社会的適応とは

【ここまでの記事の監修 : 加藤レディスクリニック 院長 加藤 恵一】



卵子凍結の注意点は?

卵子一個当たりの出生率は高くない

ここで紹介するデータは卵子凍結で使用する凍結技術は実用的(完成レベル)であるという論文*1で報告された内容ですが、そのデータを基に「凍結した卵子一個当たりの出生率」について説明します。
赤ちゃんを無事に出産するまでには右側のプロセスが示すように多くのステップを経る必要があり最終的な卵子一個あたりの妊娠率は4.5%~12.0%と報告されています。
そして年齢や体の状態によって成功率が異なります。


*1) 参考:Fertility Steril 2013; 99: 37-43, Mature oocyte cryopreservation: a guideline

卵子凍結の各プロセスの成功率

①採卵:卵子を採取します
(採卵率:89.9%~96.9%)
②凍結:採取した卵子を冷凍保存します
③融解:必要な時に凍結した卵子を解凍します
(凍結融解後の受精に臨める確率:86.0%~96.8%)
④受精:解凍した卵子を精子と結びつけて受精させます
(受精率:71%~79%)
⑤培養:受精卵(胚)を妊娠に適した状態まで育てます
⑥胚移植:育った胚を母体に移植します
⑦着床: hCGというホルモン検査で確認します
(着床率:17%~41%)
⑧妊娠:超音波検査で胎嚢(たいのう)を確認します
(胚移植当たりの妊娠率:36%~61%)
⑨出生:赤ちゃんの出産
(最終的な卵子一個あたりの妊娠率:4.5%~12.0%)

出生率は年齢や刺激法で変動する

女性の年齢と凍結した卵子の数を基にして、生まれる子供の可能性を予測する研究によると、20個の卵子が得られた場合、34歳では90%、37歳では75%、42歳だと37%の女性が一人の赤ちゃんを得られると報告されています*2
この研究は、排卵誘発剤を使用し卵胞の発育や排卵のタイミングをコントロールする高刺激法で得られた卵子のデータを基に行われました。
詳細結果は以下のグラフを参考にしてください。

Number of mature oocytes *2) 参考:Human Reproduction vol.32 No.4,2017,p853-859


一方で、高刺激法とは反対に薬剤を最低限の利用にとどめ、卵子を成熟させる自然の能力を利用した自然周期法による採卵での研究では、卵子一個当たりの出産率は、34歳で26%、37歳で19%、42歳で4%と報告されています*3

これら2つの結果を基に卵子一個当たりの出生率を比較すると以下のようになります。
・高刺激法採卵:34歳で4.5%、37歳で3.75%、42歳で1.85%
・低刺激法採卵:34歳で26%、37歳で19%、42歳で4%

このように年齢、刺激法の種類によっても、何個の卵子を保存しておくのが理想かという事は違ってきますので事前に医師と相談して正しいシミュレーションを行うことが大切です。

*3) 参考:Fertil Steril 2017 May;107(5):1232-1237, Intrinsic fertility of human oocytes



【ここまでの記事の監修 : 新宿アートクリニック 院長 阿部 崇】

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